コイン電池1個で計算上6年動く紛失防止タグを自作

鍵や財布に付ける紛失防止タグは、たいてい製造元が用意したネットワークに乗って動く。街中の他人のスマートフォンがタグの電波を拾い、位置を持ち主へ知らせる仕組みだ。人の多い場所では強いが、裏を返せば、そのネットワークが縮小したりサービスが終わったりすれば、手元のタグはただの電池付きプラスチックになる。

Szybet氏がGitHubで公開した「NordiCoin」は、この構図から降りたBLEタグだ。企業の探索網を一切使わず、持ち主自身の端末だけでタグを追う。専用のAndroidアプリが用意され、電波の届く範囲から外れると手元に通知が届く。同氏が開発する電子ペーパー腕時計向けファームウェアInkWatchyにも対応する。

売りは電池のもちだ。コイン電池1個で最長6年動くとしている。使っているのはNordic SemiconductorのnRF52805で、消費電流は最も絞った条件で3.7μAまで下がった。ただしこの設定は電波を発する間隔が5秒あり、スマートフォンから接続しにくい。間隔を4秒にすると約4.5μAで、こちらを標準にした。計算の根拠となる表計算ファイルもリポジトリに置いてある。

さらに削る余地があることも明かしている。タグとアプリの時刻を合わせ、毎分ちょうどのタイミングにだけ電波を出せば送信回数は15分の1になり、10年でも届くという。ただし一般的なAndroid端末からは接続に長い時間がかかるか、そもそもできなくなる。だから現状で十分だと判断したと説明する。

基板の設計は、個人が自分ではんだ付けすることを前提にしてある。無線モジュールにはRaytacのWroomパッケージを選び、裏面に端子が並ぶBGAのはんだ付けを避けた。さらに、主に使うマイコンが入手できなくなった場合に備え、別パッケージのマイコンを載せられる場所も基板上に用意している。予備の位置には全ピンが引き出してあるため、機能を足したいときの拡張にも使える。

タグ本体には、探しやすくするブザーと、鳴っている音を止めるボタンを備える。ボタンを別の用途に振り分ければ、家の照明などを操作するリモコンとしても使える。ファームウェアはRustで書かれている。リポジトリにはケースの3Dデータ、Androidアプリ、基板の設計データがまとめて置かれ、ライセンスはOpen Community License v1.1とGeneral Attribution v1を組み合わせている。

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