豪ニューカッスル大が使用済み太陽光パネルの銀をほぼ全量回収、鉱山の技術を転用

オーストラリアのニューカッスル大学の研究チームが、使用済みの太陽光パネルから銀をほぼ全量回収する処理を、連続運転できる規模まで大きくしたと2026年8月11日に発表した。鉱山で鉱石から有用な鉱物を選り分ける「泡沫浮選」の手法をそのまま持ち込み、酸を一切使わずに銀を取り出す。太陽光パネルのリサイクルで、連続運転のパイロット試験に泡沫浮選を用いたのは世界で初めてだと大学は説明する。

太陽光パネルは寿命を迎えると、その多くが埋め立てに回る。ガラスやアルミニウムは回収の仕組みができあがっているが、銀は発電するセルの内部に閉じ込められたまま残る。使用済みパネルに含まれる銀の濃度は100万分の300〜500にあたり、銀鉱山が採掘の採算ラインとする品位に並ぶか、それを上回ることもある。オーストラリアでは2050年までに100万トンを超える廃パネルが出ると見込まれ、そこに含まれる銀は300〜500トンと推定される。研究を率いたMahshid Firouzi准教授は、回収できるはずの銀を埋め立てていると指摘する。

既存の回収法は、大量の酸で銀を溶かし出す方式が主流だ。試薬を大量に使ううえ、有害な廃液の管理も避けられないため、規模を大きくするほど費用がかさむ。研究チームが採ったのは、水と空気、それに少量の薬剤だけで済む方法だ。パネルを砕いて細かい粒にし、水槽に空気を送り込む。銀の粒は気泡にくっついて泡とともに浮かび上がり、不要な材料は底に沈む。鉱山で長年使われてきた仕組みを、そのまま持ち込んだ形になる。

今回の試験では、使用済みパネル約460kgから取り出したセル材料22kgを処理した。住宅用のパネルにしておよそ23枚分にあたる。銀はほぼ全量が回収され、元の材料の1.25%にあたる量まで濃縮された。取り出した濃縮物の銀の濃度は、処理前のセル材料の80倍を超える。

チームの予備的な試算では、この方法にかかる費用は従来の酸を使う方式の3〜5分の1に収まる。パネルのリサイクル費用はいま、埋め立てて処分する場合の数倍かかっている。Firouzi准教授は、回収した銀を売れれば採算の計算が変わると話す。研究チームは、退役したデータセンター機器のプリント基板をはじめ、ほかの廃棄物への応用も調べている。成果は査読前の論文としてChemRxivで公開されている。

関連情報

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!

最新記事

YouTube / PodCast

【PR】読んで役立つ注目記事

目次