CAN FD基板を個人が設計して約9400円で販売、絶縁2チャンネル構成

安く買った基板が期待どおりに動かず、結局自分で作り直す。smuQDevと名乗る開発者は、車や産業機械の通信規格CAN FDに対応した市販の安価なボードを何枚か買ったものの、ソフトウェアの不具合と接続の切断、そしてサポートの不在に悩まされたと書いている。そこで設計したのが、ESP32-C5を載せた2チャンネルの絶縁型CAN FDボードだ。ドイツのミュンヘンから58.86ドル(約9400円)で販売している。

CANは自動車の内部で電子部品同士をつなぐために生まれた通信規格で、産業機械やロボットにも広く使われる。CAN FDはその拡張で、1回に送れるデータを64バイトまで増やし、通信速度も上げた。今回の基板は2つのチャンネルを独立して持ち、最大5Mbpsに対応する。

設計の中心にあるのは絶縁だ。テキサス・インスツルメンツのISO1044を各チャンネルに置き、チャンネルごとに別のDC-DCコンバーターで電源も切り離す。バス側で電圧が跳ねてもマイコン側に伝わらない構造で、ノイズを抑えるコモンモードチョークと、電圧スパイクを逃がすTVSダイオードも載せる。電源側にも1.1Aのリセッタブルヒューズと逆極性保護のダイオードを入れており、配線を間違えても壊れにくくしている。

現場で使う部品も揃う。バスの終端に必要な120Ωの抵抗はDIPスイッチで切り替えられ、microSDカードスロットとバックアップ電池つきのリアルタイムクロックでログにタイムスタンプを付けられる。4連のDIPスイッチと4個のLEDが基板上にあり、OLEDを差せば状態をその場で読める。

ファームウェアはESP-IDFで書かれ、ESP32-C5が内蔵する2つのCANコントローラーをWi-Fi経由でパソコンにつなぐ。受信したフレームをソケットで送り、逆にパソコン側からCANへ送信もできる。PSRAMから約1.1MiBを受信用に確保し、記録用と転送用でキューを分ける構成だ。付属のPythonスクリプトでフレームを監視でき、SDカードに書かれた生のログを読み解くスクリプトも同梱する。エラーが続いたときに自動で復帰する仕組みと、バスに負荷をかけて試すためのトラフィック生成器も入っている。

ファームウェアはApache 2.0で公開されている。ただし本人は、この基板を開発と評価に限った製品として売っており、CEやFCC、車載向けの安全認証は取得していないと明記する。誤配線などによる外部機器への損害について責任を負わないとも書いており、実車につなぐ前提の製品ではない。

関連情報

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!

最新記事

YouTube / PodCast

【PR】読んで役立つ注目記事

目次