
アンディ・ウィアーのSF小説であり、2026年に映画化された「プロジェクト・ヘイル・メアリー」に登場するエリディアン人のロボット技師Rockyは、英語ではなく音楽的な和音で意思疎通する異星人だ。そのキャラクターを物理的なハードウェアで再現するDIYプロジェクト「Rocky: Your Own Personal Eridanian Buddy」が、Lahiru Maramba氏によってGitHubに公開された。プロジェクトはMITライセンスのオープンソース。製作者は前作でRockyの音声合成シンセサイザーを書いており、今回はそれにLCDの表情と対話用のローカルLLMを足した形だ。
構成は「Voice Box & Brain」と銘打った2デバイス構成だ。手元でやり取りする側のVoice BoxはRaspberry Pi Zero 2WとPiSugar Whisplay HATで、HAT側にLCD、ボタン、RGB LED、オーディオ機能が一体化されている。Brain側はMac(M2 8GBモデル)が担当し、Apple Silicon最適化のmlx-whisperでWhisper-TinyモデルによるSTTを処理。LM Studioで4bit量子化版の「Gemma 4 E2B」を走らせて応答を生成する。ラズパイ側は録音音声をMacにPOSTし、戻ったテキストをLCDに表示しつつエリディアン風の和音に再合成する。
注目すべきはパフォーマンスだ。製作者のベンチマークによれば、ローカル構成はSTTが約0.8秒、LLMの推論と応答生成が約1.2秒で、合計遅延は約2.0秒。これに対しクラウド側(Gemini 2.5 Flash Lite)はSTT 1.2秒、応答 0.8秒で同じく約2.0秒。オフラインで動くローカル構成がクラウドとほぼ同等の応答速度を出す。エリディアン音声合成の側にも工夫がある。「amaze(驚き)」のような感情語は明るいE Majorコードに固定し、未知の単語は数学的ハッシュで3周波数のユニークな音色に割り当てる。LCD側には処理中に「思考バブル」のアニメーションが流れる。
ソースコード一式はGitHubでMITライセンス公開され、ラズパイとMacのセットアップ手順、ローカルLLMとクラウドの切り替え用環境変数まで含まれる。実験ラボにはR2-D2スタイルの音声生成器「Astromech Test」も同梱される。

