
メルボルン在住のエンジニアLuke Ditria氏が、ラズパイと市販のAIカメラだけでオーストラリアの野鳥を自動で撮影・識別し、ソーラーパネルで充電しながら無期限に動き続けるカメラシステムをYouTubeで公開した。ソフトウェアはGitHub(LukeDitria/mini_ai_camera)でオープンソース公開されており、52種のオーストラリア産鳥類識別モデルも同梱されている。
システムの中核は「Raspberry Pi AIカメラ」だ。外見は普通のラズパイカメラと変わらないが、ソニー製のIMX 500センサーを搭載しており、カメラチップ上に小型のニューラルネットワークアクセラレーターが内蔵されている。物体検出モデル「YOLO」をカメラ単体で毎秒30フレーム処理できるため、本体コンピューターはRaspberry Pi Zero 2W(低消費電力の格安モデル)で十分に機能する。検出のたびに本体でAIを動かす必要がなく、消費電力を大幅に抑えられる。

以前のバージョンは21700型リチウム電池2本のパックで約12時間しか動かず、毎晩持ち帰って充電する必要があった。ソーラー化を試みたものの、市販のラズパイ向け太陽光充電HATはどれも「充電電流が最大1〜2A(10W程度)しかなく」「真のMPPT(最大電力点追従)非対応」「セル1個分の電池しか充電できない」という3つの問題を抱えていた。
この課題を解決するために友人のMatt氏と共同設計した自作HATが「PVP Pi」だ。12VのLiFePO4(リン酸鉄リチウム)電池パックへの最大10A充電(最大約140W)と、真のMPPT制御を備える。LiFePO4電池は他のリチウム系より発火リスクが低く屋外での長期放置に向いており、12Ahから60Ahまで幅広い容量を選べる。PVP PiはRaspberry Piとも直接通信でき、日没シャットダウン・夜明け再起動のスケジュール管理やバッテリー残量監視もこなす。
検出ロジックも今回刷新された。従来はしきい値を超えた検出ごとに画像を保存していたため、鳥が長時間留まると数千枚の酷似画像が蓄積された。新バージョンでは検出信頼度の指数移動平均(EMA)を使い、信頼度が一定時間かけてしきい値を超えて初めてイベントを開始する。録画もこのイベント開始点で始まり、そのイベントで最も信頼度が高かったフレームを記録として残す仕組みだ。検出前数秒の映像を遡って保存するプリキャプチャ機能も持つ。
3Dプリント製エンクロージャーはMakerWorldで配布されており、PETG・ABS・ASAでプリントできる。なお、PVP Piは初回製造分が完売しており、現時点では在庫がない。代替の電源を使って基本機能は動かせるが、フル機能のソーラー管理には数カ月後に予定している再生産を待つ必要がある。

