個人が廃棄スマートウォッチを解析して復活、テスター1本でピンを追う

壊れた電子機器を分解して中身を使い回すとき、いちばん厄介なのは資料がないことだ。どのピンがどこにつながっているかを示す図がなければ、マイコンにプログラムを書き込む以前の段階で止まる。「Dsn Industries」の名前で活動する製作者は、廃棄されたスマートウォッチを相手にこの状態から始め、テスター1本でピン配置を割り出したうえで、独自のファームウェアを書き込むところまで持っていった。

この基板に手を出した理由は、数カ月前の別の工作にさかのぼる。小型ゲーム機を作る際、壊れたスマートウォッチをばらして小さな液晶を取り出したところ、載っているのがNordic SemiconductorのnRF52832だと気づいた。過去に扱った経験があるチップで、しかも歩数計や手首を上げた動作の検出に使えるジャイロセンサーと、充電回路と、ディスプレイ用のSPI配線がすでに載っている。あとはプログラムを書くだけの状態だった。

自作の腕時計は6年前に一度挑んで挫折している。当時は基板をナイフで削って作り、細い線をはんだ付けし、厚さ16mmのケースに全部を押し込んだ。ところが自作した電源基板が数日で壊れ、そこで手が止まった。今回はその再挑戦にあたる。

配線を追う作業はSPIから始めた。ディスプレイ側のピン配置は前回の工作で分かっている。マイコンのパッケージと端子表を突き合わせ、テスターを導通モードにして、どのピンがどこへ行くかを1本ずつ当たっていく。ピンを追うだけでかなりの時間がかかったという。残りの部品も同じやり方で追った。

いちばん手こずったのはジャイロセンサーだ。パッケージの構造上、端子に直接触れられない。方法は2つあると製作者は言う。1つはICを一度外して配線を調べ、また付け直すやり方だ。もう1つは基板をよく見て配線の跡をたどる。

配線が分かってもすぐには書き込めなかった。nRF52には書き込み保護がかかっている。いくつも方法を試したうえで、ESP32をデバッグアダプターとして使う方式に行き着き、保護を解除して書き込める状態にした。そのあとJTAG対応の小型デバッガーをつなぎ、OpenOCDでAdafruitのブートローダーを流し込む。動作確認にはNordicのサンプルにあるBLEのプログラムをそのまま使い、VS CodeとnRF SDKで組んだ。スマートフォンのBluetooth一覧に現れたところで、この基板が自由に使える状態になった。

ディスプレイは同じドライバーICのまま1.69インチの大きいものへ載せ替えている。製作者は次に何を作るか決めておらず、腕時計として作り直すか、紛失防止タグにするか、別の制御機器にするかを視聴者に問いかけている。なお設計データやソースコードは公開されていない。

関連情報

I Hacked a Broken Smartwatch and Replaced the Firmware | nRF52832(YouTube)

Reviving a dead smartwatch from the scrap pile(Reddit)

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