
インターネットにつながる家電は、メーカーがクラウドの仕組みを変えた時点で使い勝手が変わる。機械そのものは動いていても、操作する側の入り口が失われる。OscarCalvo74氏は、2026年10月に予定されるSamsungの仕様変更を前に、2016年に買った洗濯機と乾燥機をクラウドから切り離す方法を探した。
調べてみると、この世代の家電はクラウドとは別の窓口を自分で持っていた。同じ家のネットワークから直接話しかけられる。新しい世代の機種を扱う仕組みはすでに公開されていたが、外付けのWi-Fi子機を付けた2016年から2018年ごろの機種は対象から外れていた。同氏はそこを埋める部品を書き、Home Assistant向けにMITライセンスで公開した。
面白いのは鍵の渡し方だ。関門は2つあり、1つ目の証明書は誰でも持っている。実際の鍵になるのは2つ目で、こちらは家電のボタンを人が手で押したときにしか出てこない。ネットワーク越しには越えられない場所へ関門を置いた形になる。同じ家のネットワークにいる誰かが要求を繰り返しても、機械の前に立たない限り何も得られない。同氏はこれを筋の通った設計だと評価する。手作業では通しにくいこの手続きを自動化した点が、公開した部品の中心にある。
つまずいた箇所も具体的に書き残している。家電が返してくる文字列には、区切り記号の前に空白が1つ余計に入っていた。Pythonが標準で使う解析部分はそれを書式の誤りと見なし、後ろに続く情報をすべて捨ててしまう。結果として、家電は正しく応えているのに鍵が届かない。同氏は解析の部分を自分で書き直して回避した。
もう1つの落とし穴は機械の側にあった。チャイルドロックが有効な間は外部からの操作が完全に止まる。それでもパネルはボタンを押すたびに鳴るため、止まっている機械と無視している機械の区別がつかない。同氏はこれに1時間を費やしたという。
今できるのは読み取りだけだ。運転しているかどうか、どの工程まで進んだか、残り時間はどれくらいかといった情報を取り出せる。運転の指示を出す機能は実装も検証もしていない。確認できたのは2機種で、どちらもインターネットにつながらない状態のまま読めている。
証明書と鍵を取り出す手順そのものは、Samsungのエアコンを扱うコミュニティが以前から解明していた。同氏はそれを洗濯機と乾燥機に当てはめ、面倒な手続きを設定画面の中へ畳み込んだ形になる。

