
算数と綴りの問題に正解するたびにコインが貯まり、親がお小遣いに換える。そんな子ども向けの機器「drachmath」の設計とコードが、MITライセンスで公開された。作ったのはDimitris Platis氏で、名前はギリシャの旧通貨ドラクマから取っている。
きっかけは同氏の子ども時代にある。1990年代、父親がQBasicで同じ仕組みのゲームを作ってくれ、正解するたびに文字どおり1ドラクマがもらえた。動機は菓子を買うことだったが、算数と綴りを練習する理由にはなったと同氏は書いている。30年後、自分の子どものために同じものを作り直した。
ただしスマートフォンのアプリにはしなかった。子どものスクリーンタイムを増やしたくなかったからだと同氏は説明する。使ったのは画面とボタンを備えた手のひらサイズのマイコン端末「Wio Terminal」で、この用途にしか使えない。通知も、ほかのアプリへの誘惑もない。
遊び方は簡単で、正解するたびにコインが1枚増える。終わったら子どもが得点を親に見せ、親が現金なり褒美なりに換える。換えたら機器をリセットして最初からになる。得点は電源を切るまで保持され、間違えても減点はない。
算数は足し算、引き算、掛け算、割り算に対応し、答えは必ず整数になる。数の範囲と使う演算は設定で変えられ、初期値は最大10の足し算だけだ。設定はmicroSDカードに保存され、特定のファイルを置くと子どもが設定を変えられないように固定できる。
綴りの問題はギリシャ語と英語で、作り方が違う。ギリシャ語には同じ音で綴りが違う組み合わせが多く、たとえば「イ」の音はι、η、ει、οι、υのどれでも書ける。そこで単語の一部を隠し、同じ音になる候補だけを鍵盤に並べて選ばせる。文脈なしで正解が一つに決まるという。
英語はそうならなかった。meatとmeetのように音が同じで綴りが違う語が多く、単語だけ見せても正解が一つに決まらない。そのため英語では例文を添えて出題し、鍵盤にはアルファベット全部を並べる。出題箇所は語尾の-tion、-ableや、knやwrで始まる黙字、oughのような読みにくい組み合わせに絞った。
単語の辞書はmicroSDカードのテキストファイルで、差し替えれば別の語彙にできる。同氏はコードを他のArduino互換機へ移しやすいよう、標準ライブラリを避けて書いたとしている。

