米大学が30分でばらせるスーパーキャパシターを開発、正極は17万回利用可能

米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、30分で分解でき、取り出した部材をそのまま次の1台に組み直せるスーパーキャパシターを開発した。試作品を模型グライダーの翼に組み込んでプロペラを回したあと、1台をばらして中身を2度使い回し、いずれも元の性能を保った。成果は学術誌『ACS Energy Letters』に掲載され、米国化学会が2026年8月12日に内容を公表した。

スマートウォッチやスマートフォン、一部のドローンは、軽くて充電できる蓄電デバイスに頼っている。ただ、寿命を迎えた機器の多くは電子廃棄物になる。充電できる機器の多くはリチウムイオン方式で、燃えやすい電解液を含むうえ、部品が簡単に外れないため再利用が難しい。

研究チームが採ったのは、リチウムではなく亜鉛イオンを使い、電解液も水を基剤とした燃えない組成にする道だ。負極には亜鉛の金属と銅箔を、正極には活性炭素繊維を使う。あいだに挟む固体の電解質は、多孔質の樹脂をプラスチックのフィルムに塗り、塩化亜鉛の水溶液を染み込ませて作る。要になるのは樹脂だ。加熱すると強く結合して層を固定するが、弱い酸性の液に浸すとその結合がほどける。層を熱で貼り合わせると、2Vを出す薄い素子になる。論文の題名にある「構造用」は、電気をためる働きと、構造材として力を受け持つ働きを兼ねることを指す。Koripally氏は、研究室が積み上げてきた亜鉛イオンの化学と構造用スーパーキャパシターの技術を組み合わせ、二次利用できる形に作り替えたと説明する。

実際に動くことを示すため、研究チームは4個を模型グライダーの翼に組み込んだ。紙飛行機のように投げると、スーパーキャパシターでプロペラの動力をまかなった場合は3.7m飛び、電源なしの場合の3.4mを上回った。

分解の手順は単純だ。弱い酸性の水溶液に1台を入れると、30分のうちに層が分かれる。取り出した炭素繊維の正極は、新しい固体電解質と亜鉛の負極を組み合わせて、さらに2回使われた。最初の製造から2度のリサイクルを通じて、この炭素繊維は17万2000回を超える充放電をこなし、電気的な性能もほぼ変わらなかった。

筆頭著者のNandu Koripally氏は、持続可能性と性能は競合する目標である必要はないと述べる。材料の一生を通して考えれば、高い性能を保ちながら修理と再利用が簡単な蓄電デバイスを設計できるとしている。研究は米国防総省の奨学制度、海軍のイノベーション拠点、全米科学財団などの支援を受けた。

関連情報

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!

最新記事

YouTube / PodCast

【PR】読んで役立つ注目記事

目次