ゾウの鼻の皮膚は二層構造、柔らかいロボットの手の設計図になる

ゾウの鼻の皮膚が、柔らかいロボットの手の設計図になる。Lucia Beccai氏(イタリア技術研究所)らの研究チームが、ゾウの鼻の皮膚を調べ、上面と下面で役割が分かれた構造を見つけた。成果は2026年6月16日、学術誌のPNAS Nexusに載った。

チームは、2020年にスイスのチューリッヒ動物園で寿命を終えたアジアゾウの鼻を譲り受け、35か所の試料を調べた。皮膚の強さを測り、組織を観察し、画像と計算による解析を重ねた。すると、鼻の皮膚は一様ではなく、上面と下面ではっきり性質が違うと分かった。

上面は、硬くて丈夫な「よろい」のように働き、下面よりも3.14倍硬い。一方の下面は、柔らかくよく曲がり、物に沿って形を変える。接する面積を広げて、しっかりつかむ役に立つ。硬さで身を守る面と、柔らかさでつかむ面を、一本の鼻が併せ持つ。

下面の皮膚の内側には、ドーム状の小さな突起(乳頭)が並ぶ。計算による解析では、この突起が「皮下のレンズ」のように働き、力を感じる神経のあたりに、加わった力を集めて強めると分かった。弱い触覚の信号を、無理なく拾い上げる仕組みだ。

チームは、この役割分担した構造が、柔らかいロボットの手の手本になるとしている。外側を硬い層で守りつつ、内側で弱い触覚を強めれば、もろいセンサーをすり減らさずに、細かい感触をつかめる。複数の素材を組み合わせる設計に、生き物の答えを取り入れられる。

関連情報

Coiled thick green rope with a pebbled surface, stacked in rings against a green background.

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