米テキサスA&M大学の学生が3Dプリントと磁石で油井センサーの使い捨てをなくす

米テキサスA&M大学の機械工学科の学生6人が、放棄された油井やガス井にセンサーを取り付けるための器具を設計した。3Dプリントした柔らかい樹脂と磁石を組み合わせ、薄いフィルム状のセンサーをパイプの内側または外側に押し当てて保持する。従来はエポキシ接着剤で貼り付けて使い捨てにしていたが、この器具は着脱して繰り返し使えるため、廃棄物と費用を減らせる。米ロスアラモス国立研究所が課題を出し、学生が卒業研究として取り組んだ成果で、大学の展示会では機械工学部門の1位に選ばれた。

背景にあるのは、責任を負う所有者がいないまま放置された井戸の問題だ。適切に封じられていない井戸はメタンを漏らし、地下水を汚染する恐れがある。ロスアラモス国立研究所はこうした井戸を見つけて監視する取り組みを進めているが、井戸の管の内側にセンサーを密着させる作業に実用的な方法がなかった。これまでの方式では、エポキシ接着剤でセンサーを固定する。一度貼れば外せず、井戸ごとにセンサーを使い捨てることになる。

学生チームは、この方式を改良するのではなく、方式そのものを問い直した。設計した器具は「Sensor Positioning and Locking Attachment Tool」、頭文字を取ってS.P.L.A.T.と呼ぶ。熱可塑性ポリウレタンという柔らかい樹脂を3Dプリントし、しなる複数のアームで管の曲面に沿わせたうえで、磁石の力で固定する。プロジェクトマネージャーのNaomi Drori氏によると、アームが四方に広がった形と、磁力で管に吸い付くときの音から、飛び散る様子を指す英語を頭字語に当てはめたという。保持するのは圧電フィルムセンサーで、加わった力や振動を電気信号に変える薄い膜だ。

難所はこのセンサーの扱いにあった。極めて薄いため、切り出しや洗浄、組み付けのわずかな失敗で壊れてしまう。チームは手順を組み直しては試験をやり直し、その繰り返しが設計と技術理解の両方を鍛えたと振り返る。Drori氏は、代替案を調べて提示し、試験手順を作って確かめた結果、従来のセンサー方式を上回ったと説明する。指導したJames Hubbard Jr.教授は、既存のやり方を改良するのではなく、根本的により良い解き方がないかを問うた姿勢を評価している。ロスアラモス国立研究所は同大学工学部の卒業研究に幅広く資金を出しており、学生が実際の課題に取り組む機会をつくっている。

関連情報

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!

最新記事

YouTube / PodCast

【PR】読んで役立つ注目記事

目次