
GitHubユーザー@krauseler氏が、ESP32-C3と電子ペーパー、NFCを内蔵した「クレジットカードと同じ厚み」で動作する小型コンピュータ「muxcard」のリポジトリを公開した。ISO/IEC 7816で規定されるスマートカードの厚み0.76mmを意識し、本体厚みを約1mmに収めることを目標に開発された個人プロジェクトで、本物のNFCカードを彫り抜いた枠に基板を埋め込んだ第1試作機がすでに動作している。
主要パーツの選定は、目指す厚みから逆算している。MCUは公称0.85mmのESP32-C3で、消費電力はRTCをオンにしたスリープ時で8μA程度。表示は1.54インチで200×200pxの電子ペーパー(紙のように薄く、財布のなかで多少曲がる前提でフレキシブル版を選択)、加速度センサーは厚さ0.7mmのSTマイクロLIS2DW12、NFCはRC522を採用している。バッテリーは23×23×1mmの30mAhリポバッテリーで、フレームに切り欠きを作って収めている。USB-Cはケースレス実装、メインの接続は磁気ピンを使う。
注目すべきは自作のflexPCBの製造プロセスだ。発注した基板の到着を待ちきれず、kaptonテープに銅箔をラミネートしフォトレジストを塗布した自作基材を用意し、自宅の光造形3Dプリンターをそのままリソグラフィー装置に流用してパターンを焼き付けている。PCBレイアウトのデータはUVTools(光造形プリンタ向けのソフトでPCBリソグラフィー機能を備える)で銅レイヤーを変換した。さらに使い捨てのソルダーペースト用ステンシルもフォトレジストフィルムを重ねて自作している。電子ペーパーのフレキコネクタは0.5mmピッチで一般的なホットバー実装が難しく、各ピンを手作業でハンダ付けした旨が紹介されている。
公開時点でリポジトリのスターは90超で、コミュニティから2FAのバックアップ用、NFCキー統合型のミニマリスト財布、ペンテスト用ツールといったユースケースが寄せられている。プロ製造の試作機も並行して進行中で、開発者は近い将来のプロダクト化を予告している。「クレジットカード厚のESP32 PC」が個人の机上で動く事実は、安価なMCUと光造形プリンタを組み合わせれば極限の小型化にも個人で踏み込める時代を体現している事例といえそうだ。

