仲間がルートを外れたら即アラーム、自作の登山用メッシュネットワーク

登山中に仲間がルートを外れても、携帯の電波がなければ気づけない。Lucio Baiocchi氏が卒業研究として開発した「HEARD」は、ESP32とLoRaを使って完全にオフラインで動くメッシュネットワークで、この問題に取り組む。GitHubでApache-2.0ライセンスのもとオープンソースとして公開した。

各デバイスはESP32、u-blox NEO-6M GPS、LoRaトランシーバーで構成する。リーダーのデバイスには2.9インチのeインクディスプレイを取り付け、メンバー全員の位置を一覧できる。筐体は3Dプリント製だ。リーダーが位置情報のリクエストを送ると、各ノードが自分の座標を返す。電波が届かないメンバーがいれば、中間のノードが中継する。

既存のメッシュ通信プラットフォーム「Meshtastic」でも位置共有はできる。HEARDが異なるのは、あらかじめ読み込んだGPXルートとの照合を各デバイスが自動で処理する点だ。メンバーがルートの設定範囲を外れると、そのデバイスが自動でアラートを出す。リーダー側は定期的に全員をポーリングし、応答がなければ「圏外」ではなく「異常」として扱う。地図を見張る人が不要になる。

もう一つの特徴はシミュレーターだ。ファームウェアのプロトコル部分をpybind11でPythonモジュール化し、実際のC++コードをGPXトラックと地形データの上で動かせる。LoRaの電波到達を地形の見通しで判定し、ブラウザー上で3Dの地形と一緒に再生できる。実機を山に持ち出す前にプロトコルのバグを発見できたという。

現時点では最初の試作品で、バッテリーは未搭載、防水にも対応していない。実機でのテストは2台のみだ。Baiocchi氏は、十分な関心が集まれば基板の設計と防水ケースを作る次のバージョンに進む考えを示している。

関連情報

Internal view of a small handheld device showing a blue 2.9-inch e‑Paper module on the left and a crowded motherboard with wires on the right; a coin sits beside for scale.

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