韓国KAISTがノイズを消さずに使う人工ニューロンを開発、抵抗で用途を変える

韓国科学技術院(KAIST)の研究チームが、半導体素子に生じるノイズを消さずに、その大きさを狙った値に調整して信号処理に使う人工ニューロンを開発した。抵抗の設定を変えるだけで、同じ回路が人の動きのような遅い信号にも、音声のような速い信号にも対応する。成果は2026年8月5日、学術誌『Advanced Materials』にオープンアクセスで掲載された。

電子回路に生じる不規則な揺らぎはノイズと呼ばれ、正確な処理の妨げになるため、半導体では減らすか取り除く対象とされてきた。一方、脳の神経細胞は同じ刺激に対して毎回同じようには反応しない。細胞内部のわずかな揺らぎによって、いつ何回発火するかが変わる。その確率的な動作こそ、脳が幅広い状況に柔軟に対応できる理由の1つと考えられている。

研究チームが使ったのはメモリスタと呼ぶ素子だ。電気の刺激に応じて抵抗が変わり、その状態を保つ性質を持つ。今回のものはルテニウム、酸化タンタル、白金を重ねた構造で、酸化タンタルの層は厚さ10nmしかない。

着目したのは、抵抗の状態を変えるとノイズの大きさと振る舞いも変わる点だ。抵抗が低いときはルテニウムの塊が連続した通り道を作るのに対し、抵抗が高いときは塊が層の中に散らばり、電子が飛び移るように流れる。後者では酸素が欠けた場所が電流そのものに関わるため、揺らぎが大きくなる。つまり、あらかじめ抵抗を設定しておけば、同じ入力でも発火する確率と反応する範囲を変えられる。

研究チームはこの性質を使い、「プログラム可能な確率的ニューロン」を組んだ。回路はノイズを増幅する部分、外来のノイズを取り除くフィルター、そして発火を作る部分の3つでできている。増幅率は5.7倍、フィルターの遮断周波数は15.9kHzに設定した。微弱な揺らぎを確実に拾うため、しきい値を2つ持つ比較回路を使う。回路はブレッドボード上に組み、市販のオペアンプと比較器で構成した。

検証には性質の異なる2つのデータを使った。1つは加速度センサーで取った人の動作の記録で、0.4〜25Hzの範囲に収まる。もう1つは数字を読み上げた音声で、20Hzから8kHzまで広がる。抵抗を20kΩに設定すると遅い信号に、45kΩに設定すると速い信号に適した反応になった。分類の成績は動作認識で94.8%、音声認識で95.0%に達している。

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