
EV(電気自動車)のバッテリーは、容量が落ちて車には使えなくなっても、中身の素材や個々のセルにはまだ価値が残っている。ドイツのフラウンホーファー生産技術自動化研究所(Fraunhofer IPA)などが2026年5月7日に発表した研究プロジェクト「RoB@t2Cell」は、こうした中古バッテリーを安全に分解しながら、素材を取り出してリサイクルに回すか、もう一度バッテリーとして再利用するかを自動で振り分ける仕組みづくりに取り組む。期間は2026年1月から2028年12月までの3年間で、ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)から総額509万ユーロ(約9億4000万円)の助成を受ける。
中古バッテリーは中に電気が残っているため、安全に分解するには事前に電気を抜く必要がある。これまでは安全のためにすべてのセルを「深放電」させ、電気を完全に空にする方法が一般的だった。ただ深放電をするとセル自体が壊れてしまい、その後はリサイクルとして金属を取り出すしか道がなくなる。まだ十分使えるはずのセルまで一律に潰してしまうのが、いまの大きな問題だった。RoB@t2Cellは、リサイクル行きのセルだけを深放電し、再利用に回すセルは適切な状態まで穏やかに電気を抜くという、用途別の放電を狙う。
プロジェクトでは、ロボットアームが中古バッテリーを取り出し、各セルの端子に自動で接続して状態を判定し、リサイクルか再利用かをその場で振り分けるシステムを開発する。完成した装置は、最終的にコンソーシアムを率いるベルギーのUmicoreの工場に持ち込まれて産業ラインで検証される。最近増えている接着剤で組み立てられたバッテリーパックをどう分解するか、深放電していないセルにも対応できる新しい水ベースのリサイクル工程の研究も含まれる。
前身となるのは、Fraunhofer IPAが主導した「DeMoBat」というプロジェクトで、バッテリーモジュールの自動分解が産業規模で成立することを示した実績がある。RoB@t2Cellは、それをセル単位まで細かく掘り下げた延長線にあたる。

