CERNがFPGA用の部品集を公開、実験で使う100超の回路部品を誰でも利用可

欧州原子核研究機構(CERN)は2026年9月18日、FPGAの回路設計で繰り返し使う部品をまとめたライブラリ「colibri」を、世界のFPGA開発者に向けて公開した。CERNの実験で使うために4年かけて内部で育ててきたもので、100を超える部品を収める。ライセンスはCERN Open Hardware Licenceの弱いコピーレフト版(CERN-OHL-W-2.0)で、誰でも使い、改良を持ち寄れる。

FPGAは、中の回路を書き換えて使える半導体だ。回路はVHDLなどの言語で記述する。CERNの実験は膨大なデータを生むため、その処理にFPGAが欠かせない。一方でCERNの内部では、設計者がそれぞれ自前の道具を使い、保守の手間が増えて、設計や不具合の修正が遅くなっていた。プロジェクトごとに異なるメーカーのFPGAを使うことも、設計を使い回しにくくしていた。そこで4年前、CERNの開発者たちが、設計をプロジェクトの間で使い回せるようにする方法を探り始めたのが、colibriの出発点だったという。

colibriは3つの原則で作られている。1つ目はオープンソースであることだ。2つ目は特定のFPGAメーカーに依存しないことで、同じ設計を複数のメーカーのFPGAで同時に評価できる。3つ目は検証だ。各部品には、正しく動くかを自動で確かめるテスト用の回路が付き、可能なものには数学的に正しさを証明する形式検証も用意した。CERNは、形式検証はFPGAの世界ではまだ比較的新しい手法だとしている。

収める部品は、規格が固まったVHDL-2008だけで書かれている。マイコンやセンサー、メモリーなどの周辺の部品とやりとりするための通信方式(2本の線で1ビットずつ送るUART、2本の線に複数の部品をつなげるI2C、より高速に読み書きするSPI)、AXIやWishboneといったチップ内のバスの接続、FIFOやRAMなどのメモリー、誤りを検出するCRC、データを変換する8b10bの符号化などがそろう。使うときは、必要なファイルを自分のプロジェクトに取り込めばよい。開発ツールのVivadoやQuartusに読み込ませるためのスクリプトのほか、FuseSoCやHogといったオープンソースの管理ツールにも対応する。

最初に使ったのは、CERNの大型実験LHCbのデータ収集を担うチームで、次の改良に向けた機器の開発に取り入れた。現在はCERNの外も含め、10を超えるプロジェクトで使われているという。部品は継続して追加されている。公開先はGitLabで、コードでの貢献には、テスト用の回路と形式検証を添えるよう求めている。

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