お湯をつくるのは、薪を燃やすか、ガスを燃やすか、電気で温めるかが一般的だ。風や水の流れから自然エネルギーを取り出して給湯に使う場合も、いったん発電して電気ヒーターに通すのが定石で、その変換ロスはばかにならない。米のメイカーチャンネル「Greenhill Forge」を運営するDIYビルダーが、この変換ステップを丸ごと省くシンプルな方法を自作で実証して、2026年2月22日にYouTubeで公開した。動画は4月時点で36万回再生・高評価2万件を集めている。
仕組みの根っこは、磁石の動きが導体に「渦電流」を起こす現象だ。発電機のコイル内に鉄芯(コア)を入れると磁束が強まって発電量が増える代わりに、鉄芯の中で電子が小さな渦を巻きながら勝手に流れ、摩擦熱として無駄に逃げていく。発電機の設計者にとってはやっかいな現象だが、ビルダーは発想を逆にした。捨てられている熱を最大化して水に直接渡せば、電気を経由せずに湯を沸かせるはずだ、と。
製作したのはアキシャルフラックス(軸方向磁束)型の構造。両側に磁石を貼った2枚のローター(回転子)の間に、ステーター(固定子)として銅製のディスクを挟む。ディスクは8ミリの銅管を平らな渦巻き状に巻いてジグで形を整え、隙間がないように両面をハンダ付けして1枚の板状にしてある。銅は渦電流を起こしやすく、熱伝導も良いうえ、内側を水が流れる構造に仕立てられる。ビルダーは過去に作ったDIY発電機の本体をそのまま流用し、コイル状ステーターをこの銅製ディスクに置き換えた。回転動力は風車や小水力を想定しているが、実証ではドリルで強引に回している。
実測値は分かりやすい。1.5Lの水(初温7.9℃)を3分間で24.4℃まで上げ、出口の水温は28.4℃に達した。回転数約400rpmで装置の出力は575W相当。渦電流による発熱は回転数の2乗に比例する性質があるため、1000rpmなら3.5kW、2000rpmなら14.5kW相当まで伸びる計算になる。実機で銅ディスクの温度が水温とほぼ同じだったことから、発生熱は効率よく水へ移っていたという。電気を介さない分、発電→ヒーター変換の損失がそのまま削れる。今後は風車や水車に直結したオフグリッド試験を予定しているとのこと。製作ノートは同氏のサイト「greenhillforge.com」で有償公開されている。

