
InHand Networksが、エッジAI向けのシングルボードコンピューター「Mo 62A」と「Mo 68A」を投入した。Texas InstrumentsのAM62AとAM68Aをそれぞれ載せ、AI処理性能は2 TOPSと8 TOPSになる。基板の外形は85×56mmで、Raspberry Piと同じ40ピンのHAT互換ヘッダーを備える。2026年6月25日に発表し、7月下旬にプレスリリースを配信した。
外形の85×56mmは、Raspberry Piの標準的なボードと同じ寸法にあたる。40ピンヘッダーはGPIO、I2C、SPI、UART、PWM、PCMを3.3Vのロジックで引き出す。ただしピン27と28はカメラのI2Cバスに予約されていて、汎用のGPIOには使えない。同社は市販のHATが機構的には装着できるとしたうえで、接続前に3.3Vの電気的な適合を確認するよう求めている。映像出力はmicro HDMI、起動はmicroSDカード、電源はUSB Type-Cで、カメラはRaspberry Pi Camera Module系に使われるIMX219に対応する。
Mo 62AのCPUはCortex-A53を4コア載せ、動作周波数は1.4GHzに達する。AI処理はC7x DSPと深層学習アクセラレーターが担って2 TOPSを出す。メモリーはLPDDR4で2GB、4GB、8GBの3種類から選べる。重量は47gで、電源はUSB Type-Cの5V/5A、消費電力は最大25Wに収まる。有線はGigabit Ethernetを1ポート、USB 2.0 Type-Aを4ポート、4レーンのMIPI CSI-2を1系統備える。無線はWi-Fi 5とBLE 4.2をオンボードのアンテナで扱う。
OSはDebian 13.2 Trixieで、カーネルにLinux 6.12を使う。初回起動ではXFCEのデスクトップが立ち上がる。推論はTIのTIDLランタイムを通し、TensorFlow LiteとONNXのモデルを受け付ける。カメラはV4L2、表示はDRM/KMSの各フレームワークを使い、TI EdgeAI SDKも入る。開発言語はPythonとC/C++で、OpenCVとGStreamer、NumPyが最初から使える。SDKはGitHubで公開している。
Mo 68AはAM68Aを載せて8 TOPSを出し、メモリーは4GBと8GBから選ぶ。USB 3.0とPCIe 3.0を備え、映像出力はmini DPになる。同社はMo 62Aを単一カメラの入退室管理や軽量な画像認識、入門的なロボットビジョンに向け、Mo 68Aを複数モデルの同時実行や多系統の映像解析、工業用の外観検査に向けると位置づける。扱える映像の本数とモデルの同時実行数は、モデルの複雑さや解像度、フレームレート、フレームの間引き方によって変わるとしている。
セキュリティ面はSecure BootとTrustZone、OP-TEE、ハードウェアAES-256に対応する。動作温度は0〜50℃。同社のFAQはMo 62Aを開発者向けのSBCと位置づけ、SSHと標準のDebianのツールで管理する形にして自社の機器管理プラットフォームは載せないと明記している。価格は見積もり対応で、公表していない。

