日本の小物釣りに触発され、100mmに畳める釣り竿を3Dプリントで自作

3Dプリンターで伸び縮みする筒を作ると、たいてい同じ場所で折れる。段を1本ずつ立てて印刷するため、積層の境目が竿の長さと直角に並び、曲げの力がその境目にまともにかかるからだ。釣り竿のように、先端を軽く保ったまま全体をしならせたい道具では、この弱さが直接効いてくる。

Metatronic-Ambition氏がMakerWorldで公開した伸縮式の釣り竿は、断面を丸ではなく正方形にしてこの問題を回避した。角形にすると各段を寝かせた状態で造形でき、積層の線が竿の長さに沿って走る。曲げの力は層をはがす向きではなく、層に沿った向きにかかる。素材はPLAで足りるとしている。

寸法は収納時が約100mmで、伸ばすと約300mmになる。ポケットに入る大きさに収めることが最初からの目標で、予備の竿として持ち歩く使い方を想定する。糸を巻き取るリールも印刷部品だけで組み上がり、金具は要らない。指をかける小さな突起が付いていて、巻く向きによっては親指でも回せる。収納時に引っかからないよう薄型にしてある。フックと錘は、竿尻のキャップの中へ収めて蓋を閉じられる。

きっかけは日本の小物釣りだった。同氏は極端に小さい魚を狙い、いちばん小さい獲物を競う大会まである文化を知り、そこで使う針や糸、道具を調べ始めたという。最初の試作は木で作ったが、組み立てる部品が多く実用に耐えなかった。3Dプリンターがあるのだから自分の望むとおりに設計すればよい、と考え直したのが現在の形につながる。

組み立ては、テーパーの向きをそろえて各段を差し込み、全体を本体へ通してから竿尻のキャップを付ける。糸は先端のガイドから順に通し、リールへ結んでから本体へ押し込む。ガイドは押し込みだけで固定できる設計だが、プリンターごとの公差の差を見込んで、ごく少量の接着剤を勧めている。伸縮部分の公差は意図的に詰めてあり、フィラメントによっては最初が硬い。数回ゆっくり出し入れすれば摩耗して滑らかになるが、異常にきついままならフィラメントの乾燥状態を疑うよう注記がある。

公開は2026年7月29日で、無料で入手できる。データは3枚のプレートに分かれており、色を分けて印刷しやすい。滑りの公差を出すために付属のプリントプロファイルを使うよう強く勧めている。3Dプリントで動く機構を試したい人にとっては、実際に使う道具として持ち出せる題材になるだろう。

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