
スマートフォンを3Dプリントのゴーグルにはめ、部屋を歩き回りながら仮想の物を手でつかめるVRアプリが「CardboardXR」として公開された。作ったのはbrenpoly氏で、昔の簡易VRゴーグルを今のスマホでよみがえらせようとした。
昔の簡易VRゴーグルとは、段ボールの箱にスマホをはめ、2枚のレンズで左右に分けた画面を見るGoogleの「Cardboard」のことだ。brenpoly氏は動画の説明で、モバイルVRはスマホが120Hzの有機ELやLiDAR(光で距離を測るセンサー)、AI用のチップを備える直前に見捨てられたと書き、3年前のスマホと3Dプリンター、端末内で動くAIで復活を試みたという。
CardboardXRは従来のCardboardになかった機能を載せた。AppleのARKitとGoogleのARCore(カメラで周囲を把握する仕組み)で、頭の向きだけでなく位置の動きも追う。利用者は背面カメラの映像で自分の部屋を見ながら、床や机に立方体を置ける。アプリは手の動きをスマホ上のAIで読み取り、物を見つめて親指と人さし指をつまむとクリックになる。手のひらを自分に向けると、指の間に設定の歯車が現れる。
同氏はGoogle公式のCardboard用の部品を使っていない。READMEによると、Unityで同時に動かせるXRの仕組みは1つだけで、位置の追跡やカメラの映像にはAR側が要る。そこで左右の目の映像を自前で描き、レンズのゆがみの補正はオープンソースのCardboard SDKから移植した。発熱を監視し、手の認識の頻度などを先に下げる仕組みも入れた。
ゴーグルはCardboard v2のレンズ(約5ドル、約790円)を使う。ホイールでレンズの台を動かして焦点を合わせ、スマホを入れる扉はヒンジで開く。同氏はヒンジのピンに1.75mmのフィラメントの切れ端を使った。
アプリはApache License 2.0で公開され、ARCore対応のAndroid 10以上の機種向けにAPKが配布されている。同氏はPixel 9 ProとiPhone 15 Proで試験した。ゴーグルの造形データは機種別にCC BY-NC-SAでMakerWorldに公開されている。動画の説明によると、試作に使った3Dプリンターは、Bambu Labの支援プログラム「Let’s Make It Fund」から提供された。

