
外に出て写真を撮る気になれるカメラが欲しい。組み込みエンジニアだというDo.No氏は、その動機で半年をかけてミラーレススタイルのデジタルカメラを作り、2026年7月31日に「CXP-01」として公開した。名称はCamera eXpandable Platformの略で、市販機の主要機能を再現することを目標に据えた。
撮像素子には1インチ型のIMX283を選び、オープンソースのカメラ基板OneInchEyeを介してRaspberry Pi Compute Module 5につないだ。CM5はRAMを8GB、eMMCを16GB積む。背面に5インチ(約127mm)で1280×720の画面を置き、着脱式のバッテリーパックとステレオマイクも自作した。ボディはBambu Lab A1 miniで、PLA+とPLA-CFを使って出力している。
写りを左右したのはレンズの選択だった。Pinefeatのcef168モジュールを組み込み、キヤノンのEFとEF-Sマウントのレンズを電子制御している。同モジュールはI2C経由でlibcameraのスタックに入り込むため、レンズ内蔵モーターによるオートフォーカスと絞り制御がそのまま使える。EFレンズを本来の形で使えることがAFと画質の両面で決定打になったと書く。
もう1つ譲れなかったのが、フィルムごとの発色を再現する画像処理だった。QtのQMLとDMAを組み合わせてGPU側のシェーダーで処理させ、60FPSのライブビューに適用している。撮影後に加工するのではなく、撮って出しのJPEGにそのまま乗る。
機能はRAWとJPEGの記録、絞りとシャッター速度、ISO感度の制御に加え、多重露光や電子水準器を備える。Wi-Fiホットスポットを立ててWebアプリから写真を書き出せる。
最も苦労したのはバッテリーの持ちと発熱だった。CM5は電力効率が高いとはいえないため、CPUの動作周波数を2.2GHzから1GHzへ落とし、未使用時は最低の600MHzまで下がるガバナーを設定した。プレビュー表示をCPUではなくGPUに任せているから、この設定でも成り立つ。次はRaspberry Pi OSから不要な部分を削ぎ落としたBuildrootの独自イメージを用意する。
未解決の点も自ら並べている。電源を切るにはソフトウェアを終了させてから底面のスイッチで電力を断つ必要があり、そうしないとCM5と周辺機器が電源ラインから電力を引き続けてしまう。前面のレーザー測距計はAFを速める狙いで組み込んだが、レーザーの安全等級を保証できないため接続しておらず、次の版で取り外すという。
今後は撮像素子をマイクロフォーサーズのIMX492へ上げ、フラッシュ用のホットシューや電子ビューファインダー、動画モードを加える構想を挙げる。ボディも富士フイルムやソニーの機種に近い大きさへ小型化するとしている。

