
サッカーのFIFAワールドカップ2026に合わせ、ボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot」が会場の警備に投入される。提供するのは、2021年に同社を買収したHyundai Motorだ。カスタマイズした4台を、ダラスの国際放送センターと、ニューヨーク/ニュージャージーのスタジアムに配置する。
ロボットの役割は、人の警備員を置き換えることではなく、支援することにある。会場の外周を見回り、不審物や危険物が疑われる場所を点検し、映像を警備チームに送る。工場のような管理された空間と違い、大勢の人が行き交うスタジアムは状況が刻々と変わる。自律的に動くロボットにとって、実環境での試金石になる。
今回の投入を巡っては、SNSで波紋も広がった。スタジアムでロボットが来場者の顔をスキャンしているとする動画が拡散し、監視への懸念やドラマ「ブラック・ミラー」を引き合いに出す声が相次いだ。これに対しボストン・ダイナミクスは、Spotに顔認識の機能はないと説明している。役割はあくまで不審物の点検と警備の補助で、来場者の特定やチケットの確認には使わないという。
Spotの投入は、Hyundaiが大会向けにそろえた装備の一部だ。乗用車994台とバス506台も、3カ国16都市での輸送に使われる。FIFAの公式ロボティクスパートナーとして、ロボットを人々の生活の場へ広げる狙いを掲げる。工場を出たロボットが、雑踏のなかでどこまで役に立つのか。大規模イベントは、その答えを確かめる場になる。

