
Nissan North Americaが、光造形の3Dプリンターでタンクの底から造形物をはがしやすくする特許を出願した。米国特許商標庁が2026年8月27日に公開している。光造形機は1層ごとに固めた樹脂をタンクの底から引きはがしながら進むが、これに時間がかかり、力がかかりすぎれば細い部分が折れたり造形そのものが失敗したりする。同社の案は、タンクの底のほうを動かして助けるというものだ。
公報番号はUS20260249545A1で、名称は磁性を持たせた凹凸のある基板となっている。出願は2025年2月21日、発明者はFederico Venturi氏とNanzhu Zhao氏である。
タンクの底には従来どおり光を通す透明な窓がある。その上に透明な樹脂の層を敷き、そこから細い柱を無数に生やす。柱には磁性材料を混ぜてある。柱の上には不活性な液体の薄い層を置き、さらにその上に造形用の光硬化性樹脂を入れる。
タンクの外に磁石を置いて動かすと、柱がわずかに傾いたりしなる。すると柱の上の液体が流れ、固まったばかりの層の下に流れ込む。これで層がはがれやすくなる、という筋書きだ。
従来の機械は、造形プラットフォームそのものを大きく持ち上げて、力ずくで引きはがしている。柱がその仕事を肩代わりできれば、プラットフォームの上下動を小さくできる。
出願はこの仕組みに複数の役割を持たせている。液体を動かすことで次の層のための樹脂を隙間へ送り込める。造形に失敗して硬化物がタンクの底に貼りついたときも、柱を動かして液体を潜り込ませれば引き離せる。さらに、樹脂が固まるときに出る熱を、柱の表面積を使って逃がすとしている。柱の形も一様ではなく、円柱、中空の管、先細り、斜めに傾いたものなどを挙げ、高さを変えて接触を減らしたり、傾ける向きで液体の流れを揃えたりする案が書かれている。
ただし出願の段階にとどまる。権利化されるかも、製品になるかも決まっていない。どれだけ速くなるかを示す実測値も書かれていない。柱は何万回も曲げ伸ばしされながら、投影される光を通すだけの透明さを保つ必要があり、不活性な液体は樹脂と混ざってはいけない。そこをどう成立させるかは、出願の文面からは読み取れない。

