
CPUクーラーメーカーのNoctuaが2026年8月7日、PCケースを自社で実測した結果を公式ブログで公表した。100台を超えるケースを測ったところ、56台でメーカーの公称値と意味のあるずれが見つかったという。同社はこの実測値を自社のケース互換性データベースに載せ、ずれのあるモデルには印を付けている。
PCを組むとき、CPUクーラーが収まるかどうかは、ケースのスペック表にある「CPUクーラー高さ」の最大値を頼りに判断する。スペック表の数値とクーラーの高さを見比べて、収まる範囲で最も冷える製品を選ぶ。ところが数字が実物と食い違えば、側板に当たって閉まらない事態が起きる。奥行きに余裕のないSFFやMini-ITXの組み立てでは、数mmの差が組めるか組めないかを分ける。
ずれの多くは、公称値が実測より小さい方向に出た。つまり、スペック表を信じて選ぶと、本来入るはずのより大きなクーラーを見送ってしまう。同社が挙げた例では、NZXTの「H2 Flow」は公称75mmに対し実測79mmで、書類上は入らないはずの77mmの自社製クーラーが収まる。Thermaltakeの「TR100」は公称68mmに対し実測は70.7mmだった。差は2.7mmだが、70mmを超えるかどうかで選べる製品が変わる。Corsairの「5000D」「4000D」「Frame 4000D」では10mmの差があり、Frame 4000Dは公称170mmのところ実測180mmだった。168mmの大型クーラーと背の高いメモリーを組み合わせる場合、この10mmがフロントファンを上へずらす余地になる。
逆に、公称値より実測が小さいケースもある。同社はこちらの方が深刻だと指摘する。側板に当たったり、そもそも入らなかったりするからだ。ASUSの「Prime AP201」は公称170mmに対し実測168.3mmにとどまった。168mmのクーラーを使うとフロントファンを上げる余地がなく、メモリーは標準的な高さの32mmまでに限られる。Lian Liの「B4-mATX」は公称168mmに対し164.5mmで、仕様上は入るはずの168mmのクーラーが入らない。
メーカー側が控えめな数字を出す理由には、マザーボードのスペーサーの高さやCPUソケットの高さ、製造上のばらつきを見込んで余裕を取っている事情があると同社は説明する。安全側に倒せば側板が膨らむ失敗は防げるが、必要のない小型化を買い手に強いることにもなる。
同社はデータベースの各ケースの最大CPUクーラー高さの横に、実測でずれを確認したことを示すアイコンを付けた。人気の高いケースを中心に測定を続けるとしている。数値は自社クーラーとの組み合わせを前提に整理されているが、他社製クーラーを選ぶ際の目安にもなる。

