
フィンランドのSensera Technologies Oyが、ウェアラブル機器の研究や試作に使うオープンソースの開発基盤「SensWear」を公開した。本体基板に対し、測りたい対象に応じた小型基板を差し替えて使う構成で、回路図から製造用データ、ファームウェア、スマートフォンアプリ、解析用のソフトウェア開発キットまでをMITライセンスでGitHubに置いている。商用利用も認めている。
開発を進めるのは、フィンランドのアールト大学で無線センシングやウェアラブル計測を研究してきた顔ぶれだ。同大学のグループは2025年、光電容積脈波(PPG)とミリ波レーダーを組み合わせて動脈の脈波を測るウェアラブル機器の研究をACMの国際会議ISWCで発表しており、SensWearはその流れの上にある。
指輪型、腕輪型、貼り付け型と、ウェアラブル機器の形は用途によって変わる。SensWearは形状を決める部分と、何を測るかを決める部分を切り離した。中央の本体基板に対し、脈拍を光で測るPPG、皮膚の温度、静電容量式のタッチ、振動によるフィードバックの4種類の子基板を差し替えられる。ただし子基板は共通の電源系統を使うため、同時に有効にできるのは1枚だけという制約がある。
本体基板が積むのはNordic Semiconductorの無線マイコン「nRF54L15」だ。ほかに電池の充電と残量測定、動きの検知、LED制御、記録用EEPROM、子基板向け電源の各チップを載せる。ファームウェアはリアルタイムOS「Zephyr」を土台にしており、起動するとBluetooth Low Energyの接続待ちを始め、選んだ子基板に応じたサービスを登録する。EEPROMはファイルシステムとして扱えるため、機器の側でデータを記録してから後で取り出す使い方ができる。
データを扱う側の道具も揃えた。スマートフォンアプリは機器の探索、測定条件の設定、データの表示と記録に対応する。PythonのSDKは実験の自動化と機械学習の処理系への接続を想定し、TypeScriptのSDKはWebやデスクトップ向けのアプリ開発に使う。時刻をそろえた生データをそのまま取り出せる点を、研究用途での再現性の確保につながるとしている。
回路設計にはAltium Designerを使い、本体、デバッグ用、触覚、PPG、温度、タッチ、センサーパネルの7つに分けて公開している。それぞれに回路図と製造用のPDF、部品表、ガーバーデータが付く。開発チームは、製造データは特定の版に対応した記録であり、発注前に元の設計と一致しているか確認するよう促している。
なお開発チームは、この基盤が医療機器の認証を受けたものではなく、臨床の診断や治療に使うものではないと明記している。プラットフォームの論文はUbiComp/ISWC 2026に投稿済みだ。

