音波で原子のふるまいを再現するチップを開発、次世代計算に向けた基礎研究

アメリカのVirginia Tech(バージニア工科大学)とオークリッジ国立研究所(ORNL)の研究チームが、音波を閉じ込めて操り、原子のふるまいをまねるチップ規模のデバイスを作った。次世代のコンピューティングや通信に向けた基礎研究で、原子のように離れたエネルギーの段階を、音波で再現する。

原子は、決まった段階のエネルギーしか取れず、段階の間を移ることで光を出したり吸ったりする。この性質は、レーザーや量子技術の土台になっている。研究チームは、これと似たふるまいを、原子ではなく音波(固体の中を伝わる振動)で起こした。音波は同じ周波数の電磁波より遅く進むため、小さな素子の中に情報を閉じ込めやすい。

デバイスは、ニオブ酸リチウムという結晶に、音波を閉じ込める微細な構造(フォノニック結晶)を刻んで作る。この構造の中では、音波がとり得る振動の状態が、原子のエネルギーの段階のように不揃いに並ぶ。ここに電気の信号を加えると、状態の間を移す「原子のような遷移」を起こせる。

研究チームは、2つの状態の間で、原子の物理でみられる現象(オートラー・タウンズ分裂やラビ振動など)を音波で再現した。3つの状態に広げると、信号を一方向にだけ通す変換もできた。マイクロ波の信号処理や、種類の違う量子システム同士をつなぐ部品への応用を見込む。

研究はVirginia TechのLinbo Shao氏のチームが、ORNLと進めた。チームは、より大規模で複雑な音波の回路へ広げることを目指すとしている。

関連情報

Composite schematic and data figure: part a shows a photonic resonator with LN, SiN waveguides, modulators, mirrors and ports; parts b and c present mode shape and a multi-mode transmission spectrum with labeled modes and frequencies.

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