
3Dプリンターで動く機構を作る際、歯車の設計で手が止まりやすい。歯の輪郭はインボリュート曲線という決まった形をしていて、目分量で描いても噛み合わない。既存の公開モデルを拾ってきても、軸の太さや歯数が自分の設計と合わないことがほとんどだ。かといってCADで一から描けば、モジュールや圧力角といった機械要素の用語を先に理解しなければならない。
MakerWorldで公開された「Gear Lab」は、この入り口の段差を下げるパラメトリックモデルだ。作りたい種類を選び、必要な寸法を入れると、歯の形状には触れないまま部品が出てくる。同サイトのParametric Model Makerと、オープンソースのCADであるOpenSCADで動く。
寸法の入り口を2つ用意している点が、この生成器の設計判断をよく表す。1つは外径から指定する方法で、「だいたい50mm幅の歯車がほしい」という要求をそのまま入力すると、選んだ歯数から必要なモジュールを自動で逆算する。歯車の設計に馴染みがなくても手が止まらない。もう1つはモジュールから指定する方法で、既存の機械部品と噛み合わせるときに使う。噛み合う2つの部品は同じモジュールと圧力角を持つ必要があり、こちらの入り口はその条件を先に固定する。
3Dプリントの現実に合わせた逃げも用意してある。歯車ペアを生成すると、2つの中心距離に初期値で0.15mmの余裕が足される。設計どおりの寸法で出力すると噛み合いがきつくなるためで、プリンターの傾向に応じて増やせる。ラックに取り付け穴を開ける場合は、M2からM6までのプリセットを選ぶと、ねじの呼び径に対する実用的なクリアランス穴を選んだうえで、さらに初期値0.20mmを足す。M3なら約3.40mmの穴が開く計算だ。ねじ頭は貫通のほか、皿穴と座ぐりを選べる。
生成できる種類は広い。平歯車、はすば歯車、やまば歯車の単体とペアに加えて、ラックとピニオン、内歯のリングギア、太陽歯車と複数の遊星歯車とリングを組み合わせた遊星機構、交差する軸に使うかさ歯車、ウォームとウォームホイールの組までをそろえる。キー溝や軽量化穴、表面のくぼみといった加工も、歯そのものを変えずに追加できる。
公開は2026年8月7日で、無料で使える。歯車の理屈から入るのではなく、まず動く機構を1つ作ってしまいたい人には、取りかかりやすい入り口になるだろう。

