真空管460本を壁一面に、起動に15分かかる8ビット計算機を個人が公開

マイコンもマイクロプロセッサーも使わずに計算機を作ると、どうなるか。英国のMike氏が組み上げた「The Tube Computer」は、8ビットの汎用計算機を460本の真空管だけで動かしている。1本に2つの三極管が入っているので、中では920個の三極管が同時に熱を出している。

誤解されがちだが、これは昔の機械の復元ではない。同氏は「現代の8ビット設計を、再生した1950年代の真空管で作ったもの」と書いている。設計はいまの頭で起こし、部品だけを70年前のものにした。

使ったのはソ連製の6N3Pという双三極管だ。東欧のVHFラジオやテレビ、ラジオグラムに広く載っていた球で、いまも安く手に入る。ただし等級で寿命がまるで違う。軍用に選別されたものは5000時間、民生の上位が1500時間で、下位は500時間しかない。同氏が入手したのは50年以上眠っていた中古で、書かれた数字がそのまま当てにできるわけではない。

そこで先に試験機を作った。計算で部品の値を出しても実際とは合わなかったため、値を振って測り、多くの球で成り立つ範囲を探したと書いている。真空管は当時の製造のばらつきも大きく、1本ずつ性格が違う。

構成は、10本ずつを載せた基板を46枚作り、それを5枚のバックプレーンに挿す形になっている。全体は190×130cmの4mm厚アクリル板に、30mm角のアルミ材で組んで壁に掛けてある。部屋を占める大型計算機ではなく、壁一面である。

動かすには待ち時間が要る。電源を入れてから10〜15分、球が温まるまで計算できない。同氏は消火器を手元に置いていると書いている。運転中は焦げたほこりのようなにおいがするからだ。500時間で切れる球が460本あるので、脚立と予備の球も欠かせない。

制御卓については、同氏自身が「単純すぎる」と認めており、論理の電圧の振れ幅に対応するために設計をやり直す必要があるとしている。

作った理由も書き残している。計算というものが最も基礎的な水準でどう動いているのかを、目に見える形で示したかったからだ。真空管は光る。信号が通れば、どこを通っているかが分かる。同氏はこれが3台目で、過去の機体には爆発で終わったものもあった。プロジェクトは現在も進行中で、Hackaday.ioとthetubecomputer.comに設計の経緯と失敗の記録を残している。

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