
3Dプリンターに銃の設計データを弾く機能を義務づけるカリフォルニア州の法案「AB 2047」が、2026年8月31日に州議会の上下両院を通過した。9月4日に正式な成文となり、Gavin Newsom知事へ送られている。知事は9月末までに署名するか拒否するかを決める。
ただし、知事の手元にある条文は、5月に下院を通ったものとは別物になっている。上院での審議中に、実効性の柱だった規定がいくつも削られた。
消えたのは、機能を無効にした所有者を軽罪に問う条項、違反1件あたり最大2万5000ドル(約380万円)の民事罰、メーカーが機種ごとに宣誓して届け出る手続き、そして州が適合機種の一覧を公表する仕組みである。当初の案は、認定を受けていないプリンターを州内で売れば刑事罰の対象になるという設計だった。
残ったのは、条件付きで先送りされた義務だ。州司法省は2027年7月1日から四半期ごとに、標準化団体のASTM Internationalが3Dプリンター向けの銃器ブロック技術の業界規格を出したかどうかを確認する。規格が出たと判断すれば、そこから24カ月以内に、州として求める最低性能の基準を示す。その基準が公表された1年後に、基準を満たす機能のないプリンターを州内で販売・譲渡することが違法になる。
つまり、いつ効力が生じるかは州ではなくASTMが握っている。2029年7月1日の時点でASTMが規格を出していなければ、州司法省は確認の義務から解放され、販売の制限は発効しないまま終わる可能性がある。
免除の範囲も条文に書き込まれた。映像や演劇の小道具作りだけに使うプリンターは対象外とし、州司法省は規則によってさらに例外を設けられる。加えて、ブロック機能の開発や検証のために銃の設計データを配る行為は、既存の民事責任の対象から外れる。
法案を提出したRebecca Bauer-Kahan下院議員と、推進してきた銃規制団体Everytown for Gun Safetyは、追跡できない銃が流通する前に上流で断つ仕組みだと説明する。反対側では、電子フロンティア財団やカリフォルニアのACLU、3Dプリンター業界が、データを少し変えるだけで検知を逃れられること、オフラインの機械や既に出回っている旧機種には効かないこと、そして設計データの検閲にあたることを挙げている。


